2015.4.9
クラフト社 本山さん
ヌメ革での作品作りについてです。
作るアイテムに合わせて、前出の特性を選んでいきます。
たとえばカードケース。
名刺を保護できる型くずれしにくいことが求められるので、かたさのあるタンニン鞣しが向いています。
革そのものだけで作れるからです。クロム鞣し革だと、芯を入れてコシをもたせて作ったりします。
-クロム鞣しだと、カチっとした印象にするには、ソーイングでいう接着芯のようなものが必要になってしまう。
そうですね。
このリボンのように立体感をもたせたりするためには、ヌメ革がよいです。
反対に、くったりとしてプリーツがよったものだったら、クロム鞣しがよいでしょうね。ピッグスエードなんかもいいと思います。
「適している」というよりは、あくまで作る人の好みなんですが。
-確かに、アンティークな雰囲気のリボンなんかは、ヌメ革以外の素材の方が向きそうですね。
あとは、コシがあるから作るのが楽、ということもあります。
縫う時に、柔らかいと糸の引き締め具合が難しかったりするのですが、タンニン鞣し革だとある程度力をかけても平気です。
カットする時も、柔らかいものよりかたいものの方が正確に切りやすいですね。
-布より画用紙の方が切りやすい、みたいなことですか。
そうです。
これらの特性があるので、ヌメ革は、レザークラフトが初めてという方でも取りかかりやすい素材だと思います。
-それはいいことを聞きました。笑
はい。笑
そして、経年変化ですね。
使っているうちに柔らかくなってくる、これは革全体の特徴でもありますが、ヌメ革の場合は特に分かりやすいですね。
財布カードケースなどよく持ち歩く様なものは、自分が使っていてなじんでくる楽しみがあります。
日焼けと摩擦で色も変わってきます。
よく触る部分は磨きがかかって、少し目がつぶれて、艶が出て深い色になっています。
-この色の変化、摩擦によるんですね。
もちろん汚れもありますが、日焼けと摩擦でも色は深まります。
自分の使い方に合わせて変わるので、よりオリジナルになっていきます。
-日常で長く使うものを作りたいという方が多いと思うので、これは聞いておきたいですね。
簡単にいうと、オイルを入れます。
これは、作ったものだけでなく、市販のヌメ革製品でも基本的には同じです。
ただし、柔軟性を保つ必要が無い前出のリボンのアクセサリーなどは、必要ないかもしれませんが。
-柔らかく使い続けるための物なんですね。
革の中には元々油分が入っており、潤滑剤のような役割をしています。
この油分のおかげで、しなやかに曲げることができます。
ただ、この油分はだんだん抜けていってしまうので、補う必要があります。
かたくなってしまうと、曲げたときにひび割れなどがおきます。引っ張ったときに切れてしまうこともありますね。
ですので、定期的に油分を入れます。
汚れがつきにくくするためのワックスだったりも有るんですが、まずは油分の補給が大事です。
液体状のオイルは、羊の毛皮の端などを使うと均一に塗りやすいです。
-ひ、羊の毛皮の端……
タオルでもいいですよ。
-よかったです。笑
ニートフットオイルはヌメ革と好相性の液状オイルです。オイル自体にも少し色がついているので、塗るとより深みが出ますね。
塗りすぎるとふやけてしまうので、適度にしていただいて。3ヶ月に1回くらいが目安です。使用環境にもよります。
最後に注意点なんですが、ヌメ革は加工がされていない地の状態の革なので、傷や汚れはつきやすいです。
制作時には、接着剤や仕上げ剤が銀面(表面)に着かないように気をつけましょう。爪や机の角でも、けっこうかんたんに傷がついてしまいます。
ただこれは私の考え方なんですが、作品として仕上がり、日常の中で使っていくうちに付く汚れや傷は、味だと思います。
そこも含めて、革製品を育てなじませていくということは楽しいと思います。
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